It's a long way to come here - Klaus Schulze来日公演
3月のことになるが30年来のファンだったKlaus Schulzeのコンサートがあった。彼の年齢的にも日本で見ることができる最後のチャンス。本人にとっても来日は積年の希望だったよう。会場は東京フォーラムのホールCというクラシック向けの小ホールなので音質的にも期待。ただ残念なことにチケットの売れ行きはふるわなかったようだ。
僕がこのコンサートを知ってからチケットを購入したのが二週間後。それでも初日のコンサートのほぼ中央前から2列目という、普段なら考えられないよい席が入手できて驚いた。どうやらチケットが最初一万円と高額だったこともあってか販売は伸び悩み、最後は大量の招待券が配布されたようだ。これはいろんな人のブログにも「招待券で見た」という記述が少なくないことからもわかる。何となく数年前のPorcupineTreeのライブを思い出す。
僕が見た初日は土曜日午後の開催。ステージ前2列目という彼の機材も彼の演奏する姿を見るにも絶好のロケーション。ほぼ会場と同時に入り、リラックスして待っていると会場のPAから流れているのは彼の70年代の人気アルバム「Mirage」。「CrystalLake」の切ないシーケンスパターンのメロディが少し感傷的な気分を呼び覚ます。「こうこんな音楽は彼は演奏しないのだな」と思いながら。主催者の当初の発表は「来日公演はすべて新曲」とのアナウンスだったから。
そしていよいよライブが始まる。Schulzeはややおぼつかない足取りでステージに登場。にこやかに「ようやく日本に来ることができてうれしい。普段は夜しか演奏しないが、今日はまあオレに取ってはブレックファースト・ミュージックだな」と言ったあとでくつろいだ様子で機材の間にイスに座り込む。昨年手術をうけたという話もあるが、健康は万全ではないようだ。
それでも後ろに壁にように積み上げられたシーケンサーは点滅を繰り返し、シンセサイザー・アーティストならでは雰囲気を醸し出す。音源かコントローラとして使用されているのはMacBookPro。アナログシンセも2台。MiniMoogとEMS Synthがセッティングされている。
演奏開始後、暫くして聞こえてくるのは、なんとあの「Crystal Lake」のシーケンスパターン。そう彼は本気であの曲をライブで演奏を始めたのだ。これには嬉しかったと同時に驚いた。つまり前半全体が彼のベストとなるもので「Crystal Lake - Picuture Music - Timewind」とつながっていく。この日のパフォーマンスのハイライトは前半の最後10分。彼が演奏するMiniMoogが唸りを上げて、Timewindの最後のカタストロフィーに向かって疾走していく。この部分だけに限れば彼の最近のライブの中でもベストのパフォーマンス。前半はMiniMoogの鋭い余韻を残して終わった。
休憩で流れていたのはDavid Sylbianのソロアルバム。これも彼らしい選曲か。こうなってくるとまるで自宅のリビンクにいるかのように気分がくつろいでくる。
後半の彼のスピーチから始まる。「まるでクラシックのコンサートみたいに集中して聴いてくれてありがとう。後半も楽しんでくれ」と。後半はアジアンテイストのリズムを含む、パーカッシブな展開。冒頭では赤いエレクトリックギターを手にとり、ボトルネック奏法でサウンドエフェクトを生み出す。緩急のあるパフォーマンスの途中ではシーケンサー群に演奏をまかせて中座するハプニングも。二部も終わりアンコールに応えて15分ほど演奏。全体は2時間近いライブだった。
率直に言えば彼のベストのパフォーマンスとは言い難く集中力を欠いていた。それでも現在の彼の体調を考えば仕方がないのかもしれない。ただ前半の最後の10分のパフォーマンスはシンセサイザー奏者としての彼の才能を見せつけたし、僕にとっては、それだけでも記憶に残るライブとなった。
○今回のライブに近い2008年のソロパフォーマンス
○若かりし頃、1977年のソロパフォーマンス
○参考リンク
オフィシャルサイトの来日公演の演奏風景
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