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THIS IS IT - 最後のモンスターコンサート

作者: Shigeo Honda 最終変更日時 2010年01月22日 19時40分 |
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昨年の公開時から見たいと思いながらチャンスがなかった Michael Jackson「THIS IS IT」を最後の劇場で見てきた。おそらくはコンサート本編が実現しDVDがリリースされたら、そのボーナスディスクとなったであろうメイキングのドキュメンタリー。マイケルの死により本編が不在となったため、ボーナスディスクだけがリリースされたような奇妙な感覚がある。

編集の影響もあるのか、その「奇妙な感覚」は、この映画全体に漂っていて熱いフルパワーのステージ・シーンでもあっても現実ではないかのような感覚が残る。
 
彼はメディアから奇人変人の代表格のような扱いを受けたが、一流のポップアーティスト&ソングライターであったことは誰も否定できないだろう。彼はビジョナリストであり、頭の中には一つ一つの細かいリフやダンスの動きにまで確固たるイメージがあった。オーディエンスはそれを彼自身の体を通じて現実の世界に具現化するプロセスに立ち会う証人となる。だから彼のステージは一種のイニシエーションのような独特のエネルギーをはらんでいるのだ。
 
マイケルは何度も何度も「愛することの大切さ」を訴えるが、皮肉にも一番それから通い位置にいたのが彼だった。おそらく彼は音楽とステージの上でしか生きていけないタイプなのだろう。完璧主義のビジョナリストと子供じみた熱狂が同じ肉体に同居しているために、「日常」に適応できずにそれが奇人というレッテルになってしまった。
 
この映画で見ることができるステージはそれは素晴らしい完璧なショー。20世紀を代表するポップイコンだった彼ならではモンスターショー。音楽を取り巻く状況がこれほど変わってしまった今では、あれだけのショーをやれるアーティスはもう出てこないだろう。マイケルの死が、音楽産業に最後の花を添えることになったのも皮肉なこと。もうワールドワイドにアルバムを1000万枚以上売り上げるようなこともないだろう。
 
そして、街のあちらこちらに無数の墓標のように「THIS IS IT」のDVDやブルーレイ・ディスクの発売を告げるポスターが張り出されている。
 

 

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