Dead Can Dance - 偽物に命を吹き込む
70年代末期から繰り返しレコードやCDで聴いているグループにDead Can Danceというオーストラリア出身のグループがある。英国に渡ってポストパンクの耽美的なグループを多数デビューさせた4ADレーベルからアルバムをリリースして注目を集めることになる。ゴシック的なものを中心とした偽物のヨーロッパの音楽を生み出して。
偽物というと聞こえが悪いかもしれないが、ヨーロッパに対する郷愁と抵抗感が複雑に交差するオーストラリア出身であるからこそ、理想化されたヨーロッパゴシックスタイルを生み出せたのではないか。だから彼の音楽はヨーロッパ、東欧、中東までカバーする旋律やリズムをもち、聴き手の空想の中にしかなかったゴシック音楽を具現化できたとのだと思う。
Lisa GerrardとBrendan Perryの二人が作り上げた世界は、どこにも実在しない憧憬。それだからこそ聴き手から限りないノスタルジアを絞り出す。僕が最初に出会ったのは、遠くの廃墟の僧院のような建築物をバックに赤い布をまった尼僧が星の形に割れた大きな鏡をかざしている象徴主義的な写真がアルバムカバーのセカンドアルバムだった。執拗にオーバータビングされたコーラスの上に、祈りの歌のような声がただよっていき、教会の鐘の音が重なっていく。当時のロックからは逸脱した音楽。
次のアルバムからはさらに、中世ゴシック音楽に接近し「AION」では本物の中世音楽を取り上げるまでになる。よい作品ではあるだが、しかしそれは彼らの本質ではない。つまり「本当のこと」ではいけないのだ。また別の道を目指し、そして最後のアルバム「SpirtiChaser」で、自分たちの故郷オーストラリアのアボリジニの音楽にヒントを得たと思われる、これまた空想の世界のエスニックミュージックを生み出す。従来のファンの評価は高くないけれど、僕はとても好きなアルバムの一枚。プラハ市内を歩いていたらこのアルバムが大きな音で聞こえてきて、思わずそのカフェに入っていったことを思い出す。
そんな彼らボックスセットがこの「Dead Can Dance 1981-1998」。オーストラリア時代のポストパンク色の濃い、未発表曲から最後のアルバムまで選曲のバランスもよく、以前出ていたライブビデオをDVD化したCD3枚+DVD1枚組。ケースのデザインもいいし、写真を配したブックレットも雰囲気にあふれている。
彼らは2005年に一度再結成してワールドツアーを行い、そのライブもリリースしている。
さて30年以上音楽を聴いていると好きなアーティストの予想しない組み合わせに出会うことがある。そう、今年のドイツのローレライフェスティバルで、Klaus Schulzeが、Lisa Gerrardをボーカルに迎えてのパフォーマンスを行っている。下記がそのときの模様。Lisaの歌の圧倒的な存在感は健在。
○参考リンク


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